世界の知財トレンド

米国最高裁がMyriadの遺伝子特許事件を審理2013年1月

3月に審理開始、6月末に判決予定。

この事件は、乳がんと卵巣がんに関する遺伝子特許を、連邦高裁CAFCが地裁判断をひっくり返して有効と判断したもの*1。「身体から取り出した遺伝子」は「ヒト細胞の自然産物としての遺伝子」とは明らかに異なるとの認定からです。

今回の上告人の一人である人権協会は「人間の遺伝子に特許を与えてよいのか」との人としての自然な思いを訴えるが、最高裁の判断が待たれるところです。

自然界からの単離物質、例えば微生物や抽出物、に特許が認められ、それが故に今日まで人類が種々の病気から解放されて来たことに思いを馳せるべきです。科学的には「自然界の一領域である人体」から単離された遺伝子だからといって例外として扱うのは、いかがなものか。自然界という概念を不当に矮小化することであり、私は大変に違和感を感じます。上告人の主張が仮に最高裁で認められ遺伝子特許が否定されることにでもなれば、この21世紀に唯一残された成長産業である「遺伝子に関連した医療や薬」の研究と開発に医療・創薬関連研究所・企業や政府が投資をためらうということになります。それは、21世紀に生きる私たち人類の「幸せ」に繋がることには決してならないでしょう。

山本秀策

*1 より正確には本件は一旦は上告されました。最高裁はそれを受けて別のPrometheusの投薬方法特許に対し特許性なしと既に認定していた判決を考慮して本件を再審理するよう高裁CAFCに差し戻しました。高裁は、それにもかかわらず、初期の立場を変えなかった、つまり再審理する前の状態と同じ結論を下していました。最高裁は、今回、高裁のこの結論を審理するというわけです。

本稿に記載の見解は私の現時点での個人的見解であり、当事務所の過去・現在・将来のいづれの時点での見解でもありません。

目次に戻る