世界の知財トレンド

Myriad事件 -遺伝子は特許の保護対象か-2011年8月

米国連邦高裁CAFC判決2011年7月29日

この事件はCAFCの大法廷での判断で、Myriad Genetics Inc所有の「乳がんと卵巣がんに関する遺伝子」特許を無効とするとのニューヨーク南部地裁の判断(前回に記載ずみ)を否定し、特許法101条の保護対象であると認定しました。

Myriad特許5,747,282の「身体から取り出した遺伝子」は他の遺伝物質と化学的に結合していたのを化学的に切断したものであるから、「ヒトの細胞の自然産物としての遺伝子」とは明らかに異なるという判断です。

CAFCは、方法クレームのうち、がん治療薬のスクリーニング方法に関するMyriad特許のクレーム20については「宿主細胞を成長させる工程」と「その細胞の成長速度を決定する工程」を少なくとも含んでいるので、101条の特許保護対象と認定し、地裁の判断をひっくり返しました。他の検査法クレームについては、地裁判断を支持しました。

遺伝子特許が無効との地裁判断がひっくり返ったことで、安価な治療や安価な薬の入手を主張する人々には衝撃的な判断となりました。最終的には、最高裁で結着ということになるのでしょうが、バイオ分野、診断医療分野、知財分野で働く人々には興味のつきない事案です。

山本秀策

本稿に記載の見解は私の現時点での個人的見解であり、当事務所の過去・現在・将来のいづれの時点での見解でもありません。

目次に戻る