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Myriad 事件の米国最高裁判決2013年6月

米国ニューヨーク南部地裁判決2010年3月29日

Myriad Genetics Inc が所有する「乳がんと卵巣がんに関する遺伝子」の特許と「これらがんの素因を明らかにする検査方法」の特許を無効とするとの判決です。共に、特許法101条の保護対象ではないとの判断からです。

その理由は、Myriad特許の「身体から取り出した遺伝子」は「ヒトの細胞の自然産物としての遺伝子」とは目立って違いもなく、取り出し精製することでその遺伝子の本質的特性が自然産物としての遺伝子の特性から変化したわけでもないから;さらにまた、検査方法も遺伝子情報集め以上のものではなく数学的アルゴリズムといえるから、とのことです。

遺伝子特許が無効になることで、安価に治療を受けることができ、薬も安く入手できるとの観点から歓迎する声と、研究への投資意欲が削がれ遺伝子研究が滞るのではとの危惧の声が出ています。

今回の地裁判決は深くかつ広範囲に亘って考察されたよく出来た内容と見ますが、知財高裁では米国産業への影響をも配慮して判決がなされるでしょう。その行方が注目されるところです。

山本秀策

本稿に記載の見解は私の現時点での個人的見解であり、当事務所の過去・現在・将来のいづれの時点での見解でもありません。

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